オフィス街Photo:PIXTA

日銀短観の業況判断DIが大幅に悪化した。鉱工業生産指数が減り、景気動向指数が悪化していたため、短観の悪化は予想されていた通りであったといえよう。“景気弱気派”が見ると景気後退の気配が濃厚なようだが、“景気強気派”の筆者はいまだに景気は後退しないと考えている。その理由を説明したい。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

まず押さえるべきは
景気は自分で方向を変えないこと

 まず、押さえておくべきことは、「景気は自分では方向を変えない」ということだ。景気が拡大すると生産が増え、それに伴って雇用が増え、雇われた人が給料を受け取って物(財およびサービス)を買うので、一層物が売れるようになる。

 景気拡大で企業の生産が増え、利益が拡大すると、設備投資が増えることも見込まれる。企業の設備投資意欲が強まることに加え、銀行の融資姿勢も借り手企業の利益が増えれば積極化するからである。

 今回の局面では労働力不足が深刻化しつつあり、これが企業の省力化投資を活発化させていることが、景気の自律的な拡大を持続させる力として働いているもようだ。