ロシア疑惑などを捜査してきたモラー特別検察官が捜査報告書を司法省に提出し、「トランプ陣営とロシア政府の間に共謀はなかった」としたことで、トランプ大統領は高らかに勝利を宣言した。しかし、これでトランプ大統領の「完全な潔白」が証明されたわけではなく、大統領に対する議会の追及はむしろ激しくなることが予想される。
モラー特別検察官は「司法妨害についてはどちらとも言えない」と結論を出さず、その判断を議会に委ねる形にしたからである。
バー司法長官は議会に提出した捜査報告書の概要で、「司法妨害の証拠はなかった」と都合よく結論づけたが、これに民主党が猛反発し、報告書の全面公開を求めた。そもそもバー氏は司法長官に就任する前にモラー特別検察官の捜査を強く批判していた人物であり、以前から中立性に疑問が呈されていた。
モラー特別検察官は報告書のなかで、司法妨害についてはあったとするものと、なかったとするもの両方の証拠を提示したとされており、民主党が「その全てを見たい」と主張するのは当然であろう。