平成22年度(2010年度)以降、有効求人倍率は見事なまでに右肩上がりで上昇の一途をたどっており、いわゆる「売り手市場」であることは誰の目に見ても明らかです。多くの企業が人材不足や良い人材が採れないという悩みを抱えています。では、このような状況下で成果を出し続ける企業はどのような取り組みをしているのか。『採用に強い会社は何をしているか ~52の事例から読み解く 採用の原理原則』を刊行し、現在はLINE株式会社 Employee Success室 副室長を務める青田努氏に、本書の中からいくつか事例を抜粋してもらった。

LINEがしている情報発信

青田 努(あおた・つとむ)
LINE株式会社 Employee Success室 副室長
リクルートおよびリクルートメディアコミュニケーションズに通算10年在籍し、「リクナビ」の学生向けプロモーション、求人広告の制作ディレクター、自社採用担当を務める。その後、アマゾンジャパン、プライスウォーターハウスクーパースなどで人事マネージャー(おもに中途採用領域)を経て、2015年より日本最大のHRネットワーク『日本の人事部』にて、人事・人材業界向け講座の企画・運営、HR Techメディアなどのサービス立ち上げに携わる。2017年にLINE株式会社入社、2018年7月より現職。1999年、筑波大学 第一学群 人文学類 卒業。2014年、早稲田大学大学院商学研究科(MBA)修了。組織学会、人材育成学会、日本マーケティング学会会員。著書に『採用に強い会社は何をしているか』(ダイヤモンド社)がある。

 採用活動は時として長期戦になります。そのため、ターゲット人材に向けた継続的な情報発信は、彼らがキャリアチェンジを思い立った際に自社を想起してもらううえで効果的な施策となります。

 LINEでは、主に2つのメディアを運営していますが、「LINE HR BLOG」では従業員一人ひとりや社内の様子を中心に紹介し、エンジニアブログ「LINE Engineering」では主に技術者向けの情報を継続的に発信しています。

 一般的に、候補者は応募前と比べて内定後により熱心に情報収集する傾向があります。そのため、採用ページに加えて多くの情報が集積された場があることは、内定辞退防止などの観点でも大きな武器となります。なお、これらの情報源は、自社の従業員が他部署のキーパーソンの想いや業務を知る手段にもなるという副次的な効果もあります。

LINE HR BLOGLINEが運営する「LINE HR BLOG」。従業員一人ひとりや社内の様子を中心に紹介