事業の成功に最も重要なのは「タイミング」

馬田隆明氏
馬田隆明氏

馬田:あがいていた20代と、「スタートアップ的なことをやれる」ようになった30代で、具体的に何が変わったのでしょう?

鎌田:前提として、タイミングがよかったというのは間違いありません。私たちがモバイルインターネットに注目し始めた後に、運よくマーケットが盛り上がっていったので。今はアクセラレーターとしてさまざまなスタートアップを見ていますが、企業が大きく成長できるかどうかは結局のところタイミングの要素が大きいと思います。

馬田:シリコンバレーにあるインキュベーション企業のIdealabを創業したビル・グロス氏も、『TED 2015』で「The single biggest reason why startups succeed」(日本語版は「新規事業を成功させる一番の原因」)」というプレゼンを行った際、「事業の成功で最も重要な要素は、ビジネスモデルでも資金調達でもなくタイミングだ」と述べていました。

鎌田:どの“山”が高くなるのか? つまりどんな分野が成長していくのか? という市場予想みたいなものは、当たり外れがありますしね。

 また、これもよくあるのが、タイミングが早過ぎて失敗するケースです。私も1995年頃、「これからはインターネットに接続できる大衆向けの端末が流行る!」と考えてインターネットテレビを企画して、テレビメーカーさんと製品化しましたが、大コケしたことがあります。

 ただし、ビジネスの成功と環境との因果関係という意味では、産業が盛り上がるタイミングが来る前に「山の裾野」に居合わせるかどうか? が非常に大事です。この山は高くなる! と気付いてから参入するのでは遅いし、勝てません。

 今振り返れば、20代はどの山が高くなりそうか? を探りながらトライ&エラーを繰り返す中で、会社の「土台」が大きくなっていたのでしょう。その土台の上に高い山を作ることができるようになったタイミングで、前から目を付けていたモバイルインターネットの分野が大きく盛り上がり始めた。その流れに乗って一気に会社が成長していく過程で、見える景色が変わっていき、「すべての機器をネットにつなぐ」というビジョンも定まったのだと感じています。

「10年前なら無謀」「10年後だと遅過ぎる」分野が面白い

馬田:準備を重ねた上で、タイミングが来た時に「裾野に居合わせる」のが大事ということですか?

鎌田:そうですね。狙ってホームランは打てないけれど、たまたま出たホームランでもない。何度も空振りしながら、ホームランを打てるよう練習を重ねた結果、良い球が来たという感じでしょうか。

馬田:鎌田さんは、その「高くなりそうな山の裾野」をどう見極めてきたのですか?