今シリコンバレーには日本の自動車業界とIT業界から熱い視線を集める4人組がいる。彼らは「シリコンバレーD-Lab」(以下、D-Lab)。これまでに彼らが発表した三つの報告書は、両業界の幹部が舐めるように読んだといわれる。
2017年に発表された最初の報告書「モビリティ業界に起こる変革とチャンス」は、シリコンバレーの識者に聞き取り調査を行い、まとめられた。自動車とIT業界が「モビリティサービス」という、モノからサービスへの大変革を迫られていることを、丹念かつ強烈に語ったもので、100ページを優に超えるが、17万ダウンロードを記録した。
D-Labは会社でもNPOでもない。シリコンバレー在住の有志グループだ。ジェトロサンフランシスコの下田裕和氏、在サンフランシスコ総領事館(当時)の井上友貴氏、パナソニックの森俊彦氏、トーマツベンチャーサポートの木村将之氏である。それぞれの仕事を持ちながら、週末などに集まって調査や議論を重ねてきた。
前出の最初の報告書は、電気自動車や自動運転、インターネットに接続された自動車、自動車共有サービスなどが中小企業にどのようなインパクトを与えるかという問題意識で書かれた。続いて2回目の報告書では大企業における新規事業開発に注目。3回目の最新報告書は「シリコンバレーから見えてきたMaaSの世界」と題され、自動運転などの個々の技術革新が、モビリティというサービスに統合されていく最新の流れに焦点を当てている。