ヨーロッパで盛んな「公共交通無料化」
日本で実現しづらい理由とは

 ノモックの「移動を無料に」というコンセプトを聞くと、交通網が張り巡らされている大都市圏よりも、地方の過疎地が脳裏に浮かぶ。実際のところ、こういったサービスを本当に必要としているのは、移動手段の少ない地方の過疎地ではないだろうか。

「地方はやはり広告を見る人は少ないので、広告出稿も見込めないでしょうね。たとえば、ふるさと納税のように、大都市で稼いだ広告収入を使って地方の移動手段を無料にするような、福祉的な発想のサービスが出てきたら画期的だと思います」

 ヨーロッパの都市では、公共交通無料化の動きが進んでいるという。森口氏が昨年秋に訪れたエストニアの首都・タリンでは、リーマンショックの影響で困窮する住民のために公共交通を無料化したところ流入人口が増え、無料化した分の交通料金を上回るプラス税収があったそうだ。このような事例が日本で見られないのは、いったいなぜなのか。

「私が見てきたヨーロッパの都市では、公共交通を自治体主導で管理しています。だから福祉的な発想にシフトしやすいのでしょう。日本の場合は民間業者が運営している場合が多いため、自治体が主導して交通を無料化するというのは、仕組みの違いから変えていかないと厳しいでしょうね」