その後、2017年に「技能実習3号」の在留資格ができ、技能実習だけで最長5年の在留ができるようになったことを受けて、国交省は、技能実習1号、2号の実習を修了し、いったん、帰国した技能実習生についても、同様の措置をとった。

 母国への技術移転のために実習を3年間行って帰国した外国人が、建設分野の労働者として再び来日し、その後さらに建設分野で技術移転のために技能実習を2年行うというのは、「技能実習制度」の建前、理屈がもはや破綻していると言わざるを得ない。

「良好な修了」という条件が
雇用主への“従属”強まる恐れ

 技能実習制度が、時給300円とか500円という差別的な待遇で働く労働者を生み出している問題はこれまでも指摘されてきた。

 その背景には、技能実習制度が、同一の雇用主の下で一貫して技術を習得することにより途上国への技術移転を図るという名目があり、制度上、技能実習生がよりよい職場に移転する権利を保障していないことがある。

 他方で、「特定技能1号」は、労働者としての受け入れなので、少なくとも同一の産業分野では雇用主を変更することが認められている。

 そのため、技能実習と「特定技能1号」とを単純に比較した場合、一見、「特定技能1号」の方が人権保障にかなった制度に見える。

 しかし現実は、上記の通り、特定技能という在留資格創設によって、技能実習制度は外国人労働者受け入れ拡大の枠組みに組み込まれる方向だ。

 技能実習生が、例えば、実習修了後に「特定技能1号」に移行して、長期間、日本で仕事をしたいと考えた場合には、まずは、「技能実習2号」を円満に修了させなければならない。

 そのためには、これまでにも増して、雇用主との間で問題を起こさないよう努めなくてはならない状況に置かれる。このことが、技能実習生らの正当な権利行使を阻む可能性がある。

 新制度では、単に「技能実習2号」を修了すればよいのではなく、「良好に修了した」ことが求められるからだ。

 使用者との関係が悪ければ、技能実習の時とは別の使用者の下で仕事をしたいと思っても、このような証明書の交付は受けられない可能性がある。