このタイプの先送りは、努力だけではなおりません。たとえば、上司から「企画書を出せ」と言われたら、ありきたりのものを期限内に出そうという考えは捨て、何かドラマを巻き起こす野心的な目標を立てるのです。こうしてワクワクドキドキすることで、心にポッカリ空いている穴が埋められ、渋々ではなく前向きに取り組めるようになります。コツは、今すぐ無性に始めたくなるような良い意味で能天気なストーリーを仕立て上げることです。

 もちろん、通り一遍のものを提出するより、ドラマを巻き起こすものを提出するほうが、はるかに作業量は多くなるため、かえって期限に間に合わないのではないかと心配されるでしょう。しかし、「なんとかなるさ脳」の人は期限に遅れたら、そもそもドラマが台無しになるため、期限はきっちり守れるようになるので安心してください。

失敗するのでは…と心配症の「ネガティブ脳」

「報告書にこんなことを書いたら、上司から大目玉を食らうに違いない…」「プレゼンにこんな資料を出したら、みんなに笑い物にされるんじゃないか…」こうした不安が次々に襲ってきて、結局、一向に作業が進まないというケースも少なくないはずです。実はこうしたタイプの人の脳の中は、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」という最近増えているメンタル面の病気と似た状態になっています。もちろん、失敗するんじゃないかと心配になって先送りするといった程度では、PTSDとは言えません。しかし、脳の働き方という点では共通点が多く見られます。

 さらに、このタイプの先送りをする人は自己肯定感が低く、やればできるという自信が欠如している場合が多い特徴があります。丁寧にカウンセリングを進めていくと、子どもの頃に受験に失敗したとか、スポーツの試合に負けたなど、ネガティブな体験に強いこだわりを持っている場合が多く、これが本人も気づかないうちに小さなトラウマになっていて、先送りグセを生み出す原動力になっているのです。

 失敗のトラウマが脳に残りやすい「ネガティブ脳」の人におすすめな対策は、「デブリーフィング」です。ベトナム戦争のとき、デブリーフィングを行っている兵士のほうが、その後、PTSDが起こりにくいというデータが出たため、メンタル医学でもトラウマを克服するためにデブリーフィングが取り入れられるようになりました。