こうした多額の寄付金を集めた自治体に、総務省が新たにうったのが、特別交付税の減額という「強硬手段」だ。

 ふるさと納税制度は、2007年第一次安倍政権の時に、当時の菅総務相の発案で創設された。

 自分で選んだ自治体に寄付すると、自己負担額(2000円)を除いた寄付金の全額が、所得税や住民税から控除される仕組みだ。

 この制度の設計には、筆者も、内閣参事官として官邸の仕事をしていた時に手伝った。

 制度が画期的なのは、寄付金と税額控除の仕組みを合わせているので、事実上税の使い方を国民(寄付者)が選ぶことができることだ。

 社会学ではチャールズ・チボーの「足による投票」という言葉がある。

 好ましい行政サービスを提供してくれる自治体に住民が移動して自治体の財政収入が上がって、そうした自治体のほうが生き残るという考え方だ。

「足による投票」は、住民に望ましい首長を選挙で選ぶ「手による投票」とともに、よりよい自治体運営を目指すためには、不可欠な制度だ。

 筆者も、ふるさと納税はこの「足による投票」を、事実上、推進する制度だと考えている。

制度創設当初から
官僚の抵抗は強かった

 しかし一方では、ふるさと納税制度は、政府(官僚)が税を徴収して、政府(官僚)が配分するのが当然で、それが最適配分を実現するという中央政府の官僚の考えには反している。

 そのため、制度創設の時から、官僚は猛反対だった。

 当時の菅総務相が政治的に総務省の官僚を説得して、ふるさと納税は実現したが、当時、こうした制度の創設は、総務省以外の官僚もこぞって反対した。

 筆者は、当時、大学についてもこうした寄付金制度ができないかと考えた。

 私立大学を含めて大学は外部資金が必要なので、ふるさと納税と同様に、寄付金を税控除する仕組みとして、寄付先を地方自治体から大学に変えて、税控除する税制改正を提案した。

 この案は肝心の文科省が望んでいないとされ、日の目を見なかった。