また、今や全労働者の3分の1が非正規雇用だが、そうした人の中には被扶養者の年収要件や労働時間のしばりによって、社会保険に入りたくても入れないという人もいる。企業の利益は労働者の働きによって支えられているのだから、本来ならば会社の健康保険で面倒をみるべき人が国民健康保険に流れ、国保財政を悪化させているという問題もある。

 現行の被扶養者の年収基準は、一家の大黒柱の収入で生活できて、妻のパート収入は補完的な役割でよかった時代にできあがったものだ。社会の労働構造が大きく変わっているのに、いつまでも昔と同じでいいはずはない。

 社会保障・税の一体改革では、社会保険の適用を拡大するために従業員501人以上の大企業で働く非正規労働者やパート主婦などの年収基準、労働時間、勤続年数などを見直すことを打ち出している。しかし、働き方やライフスタイルが多様化した今、これまでのような世帯単位での負担や給付のあり方では限界がある。

 国民が信頼できる持続可能な健康保険にしていくためには、職業や家族内での立場に関係なく、誰もが収入や資産に応じて保険料を負担し、社会の一員としての自覚を持てるような個人単位の制度への脱皮が必要ではないだろうか。