つみたてNISAの商品の内訳をみると
インデックスファンドが圧倒的!
つみたてNISAの対象の投資信託の内訳は大きく3つに分かれます。
「指定インデックス投資信託」は142本、
「指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投信等)」が17本、
そして「上場投資信託(ETF)」が3本です。
圧倒的に、インデックス投資信託の本数が多いことに気づかれたと思います。
実は、つみたてNISAがスタートする前、日本証券アナリスト協会が2017年4月に開催したセミナーが開かれたときのこと。そこで、前金融庁長官森信親氏は講演で、つみたてNISAの対象になりうる投資信託について、「アクティブ型株式投資信託で5本、インデックス型株式投資信託で50本弱」と述べました。
つみたてNISAの対象として相応しいと思われる投資信託の本数は、6000本以上ある投資信託の中でたったそれだけだったのです。それが、なぜ指定インデックス投資信託の本数が50本弱から142本にまで増えたのでしょうか。
金融庁が設定をゆるめた途端に、本数が増加
それは、金融庁がつみたてNISAの対象となる投資信託の選定基準をゆるめたからです。 実際のところ金融庁としても当初、まさかつみたてNISAの対象となりうる資産作りに適した投資信託の本数が、ここまで少ないとは思ってもみなかったようです。
しかも、その事前調査で、大手証券会社の系列の投資信託会社が運用している投資信託が、ほとんど入って来なかったことにも驚愕だったのでしょう。
そこで、インデックス型に関しては、一定の条件を満たしてさえいれば、過去の実績がまったくない「新しく作った投資信託」を認めることにしたのです。
それを受けて、各投資信託会社はインデックスファンドを中心に、つみたてNISA用の投資信託を次々に新規設定しています。その結果の142本なのです。
ちなみにアクティブ型の投資信託に関しては、運用が開始されてから5年以上が経過していること、信託期間中3分の2以上で資金流入超であることなど、私が前著である『投資信託はこの9本から選びなさい』でも述べていたような条件が基準だったことから、その本数は17本に留まっています。
恐らく、今後もインデックス型投資信託を中心にして、つみたてNISA用の投資信託はどんどん増えていくのだと思います。何となくつみたてNISAの最初の志が歪められた感もあるのですが、一度ゆるめた基準を、また厳しくするのはなかなか難しいことだと思いますから、このまま本数が増えていくのは必定でしょう。
(続く)
セゾン投信代表取締役社長、1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社2006年セゾン投信を設立。07年4月より現職。積み立てで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言、それに合った2本の投資信託を運用し、価値ある投資信託に送られる「R&Iファンド大賞」最優秀ファンド賞を5年連続受賞、口座開設数約14万人、預かり資産約2400億円に。公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投資信託協会理事。
著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』『お金のウソ』(ダイヤモンド社)、『預金バカ』(講談社)ほか多数。