次に、この2つの歴史的時期は社会主義建設の思想指導、方針政策、実際の仕事といった分野で大きな違いがあるが、両者は互いに分裂しているわけでもなければ、根本的に対立しているわけでもない。

 最後に、改革開放前の歴史に対して正しい評価をしなければならない。改革開放後の歴史を以て改革開放前の歴史を否定してはならないし、その逆もまた然りである。」

 筆者から見て、この段落には習近平率いる中国共産党が保守派と改革派双方からの圧力や要望に挟まれながら、それでも政治的均衡を保ち、党の権威や正統性を保持すべく奔走している現状がにじみ出ているように思える。

共産党内に常に存在する
“右”を弾圧する土壌

 特筆すべきは“左”、すなわち保守派への配慮であろう。

 中国が過去の40年間改革開放の進路を歩んできて、今後もそれを続けていくという方針に根本的な変更は考えられない。一方、市場経済が進行するなかで格差や拝金主義が生まれ、国際社会、とりわけ西側世界との接触が深まるなかで自由、民主主義、三権分立、多党制、選挙といった制度や価値観が中国国内に“浸透”し、その“誘惑”に駆られる国民が増えたりする状況に不満や警戒を持つ勢力も少なくない。

 2012年に失脚した薄熙来元重慶市書紀・政治局委員が、“唱紅”という掛け声の下、“文化大革命”時代の歌を市民が合唱する場面を作り出し、格差が横行する現状に不満を持つ“無産階級”からの支持を取り付けようとした政治手法が想起される。

 “左”の勢力、風潮に迎合しているように見受けられるのが、鄧小平の言説を借りながら展開する次の段落である。