金融、ヘルスケア、知財
離職率激減にも使える

 キビットはテキスト(文章)を読み込むAIエンジンなので、応用範囲が極めて広い。ディスカバリなどリーガルテック領域の実績を突破口にして、金融機関の業務効率化、ヘルスケアの電子カルテ解析や診断支援、知財調査など領域をぐっと広げている。

 武田は「あったらいいものではなくて、ないと困るものを作るのがエンジニアの使命」と言い切る。その言葉通り、キビットを駆使したサービス導入企業は約140社まで急増した。

 近年では、人手不足解消の有効策となるユニークなサービスも開始した。医療・介護サービス大手のソラストでは、離職リスクを軽減するためにキビットを活用している。医療事務の社員2000人の面談記録を毎月キビットに読み込ませて分析し、離職リスクの高い社員を抽出。「頑張る」のようなポジティブな言葉でも頻繁に使うと離職リスクが高くなるなど、人間には難しい判断ができる。当該社員にシフト変更など追加措置を講じた結果、離職率が37%から16%へと激減する成果があった。

 武田の将来目標は、米国のリーガルテック市場でシェア首位になること。米国企業を中心に競合が約1200社ひしめいており、ハードルは高い。「日本が強いのは製造業だけではない。ソフトウエアやアナリティクスの領域で世界一になりたい」。武田の野望は膨らむばかりだ。(敬称略)

(ダイヤモンド編集部 浅島亮子)

【開発メモ】KIBIT(キビット)

 FRONTEOが独自開発した日本発の人工知能エンジン「キビット」は、テキストを読み込んで解析できる。弁護士の作業品質を評価する機能も備えている(写真)。弁護士が訴訟の証拠になると判断したものと、キビットが証拠に近いと判断したものとの整合性を表したもの。ここまで高度な判断ができるAIエンジンは、キビットだけ。