スマホ発売延期により、サムスンでもこの問題が再度露呈した。サムスン電子の経営は、決算数値が示す以上に深刻と考える。なぜなら、同社は2016年のスマホ発火問題という教訓を生かすことができていないからだ。

 本来、企業経営者は過去の不正や問題の教訓を生かして経営体制を見直し、組織力を高めなければならない。

 しかし、サムスン電子内部では、創業家の利得追求のために新製品の開発を急ぐ考えが優先されてしまった。その結果、新商品開発を急がなければならないという“集団心理”が強くなってしまい、初歩的な不具合の有無を確認することが難しくなったのだろう。

 企業として、収益を追求することは何よりも重要だ。同時に企業に求められることは、付加価値の獲得をもとにして、利害関係者と良好な関係を築き、強化することである。それが企業=社会の公器といわれるゆえんだ。

 一方、韓国では、社会の公器である財閥企業の活動が、創業家の利得にかなり強く結びついてしまっている。韓国財閥企業には、資本家、消費者、地域社会など多様な利害関係者と良好な関係を築き、持続的な経営を目指すという、企業の最も基本的かつ重要な考えが浸透していない。

 グローバル化が進み、企業を取り巻く利害がより複雑化する中、企業は独善的な発想で経営を続けることはできない。これは世界の常識だ。韓国財閥企業は経営の専門家、あるいは実力のある人材を登用し、より公平に経営の意思決定を行う環境を整備しなければならない。サムスン電子1社の売上高は、韓国GDPの13%程度に達する。財閥企業の経営風土をより公平かつ持続的なものに改革することが、韓国の潜在成長率を左右するだろう。

財閥企業の業績悪化が懸念
高まる韓国の政治・経済の先行き不安

 ただ、韓国の政財界が財閥企業の経営風土改革に本腰を入れることは、口で言うほど容易なことではない。