男性同士の恋愛を特別視しなかった
『おっさんずラブ』

 一方、2018年は、セクシュアルマイノリティを主要な登場人物もしくは主役に据えたテレビドラマが、数多く放送された年でもありました。トランスジェンダー(MtF)かつレズビアンの主人公の日常生活が描かれた『女子的生活』(NHK総合)、男性同士のカップルが準主役的な立場で登場し、親との関係やパートナーシップのあり方などがリアルに描かれた『隣の芝生は青く見える』(フジテレビ)が1月からスタートし、3月には、NHK BSプレミアムが、田亀源五郎氏の漫画作品を原作とした『弟の夫』を放送。これは、主人公(ストレート男性)および小学生の娘と、主人公の双子の弟の同性パートナー(カナダ人男性)との心の交流を描いたもので、大きな反響を呼びました。

 さらに、4月期には、「おっさん」同士の恋愛模様を描いた『おっさんずラブ』(テレビ朝日)が放送されました。

 このドラマは、そもそもは2016年末に単発ものとして放送されたのですが、そのときは、男性同士の恋愛を茶化すような描写が見受けられ、少しモヤモヤした気持ちになったものでした。ところが、連続ドラマ版は「男性同士で月9のような王道のラブコメをやる」という方針で作られたせいか、ドラマとして非常に面白く、深夜ドラマでありながら、社会的にも大きなブームを巻き起こしました。

 ちなみに私がうなったのは、最終回の、とあるシーン。主人公に思いを寄せる「部長」が、主人公にフラッシュモブでプロポーズをするというくだりがあったのですが、その場にいる人たちが誰一人、「男性が男性にプロポーズする」ことを特別視せず、当たり前のように見守っていたのです。「作り手はそこまで深くは考えていないのでは」といった意見もあるかもしれませんが、私は「ついに日本の地上波でも、こういうドラマが作られるようになったのか」と、感動を覚えたものです。