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平成は、「LGBT」という言葉が一般化した時代だった。多くの自治体や企業で、セクシュアルマイノリティへの理解や権利について議論されるようになった。しかし近年、LGBTの権利拡大に反発し、活動家を批判する当事者もいるという。令和は真に「多様性」の時代になれるのか。現在発売中の『インクルージョン&ダイバーシティ マガジン Oriijin(オリイジン)』を一部抜粋し、掲載する。

セクシュアルマイノリティを取り巻く環境は
どう変わったのか?

 ここ数年、セクシュアルマイノリティをめぐって、日本ではさまざまな動きが起きています。

 雑誌『オリイジン2018』発売後の一年間(2018年4月~2019年3月)に限って言えば、まず2018年4月に福岡県福岡市、7月に大阪府大阪市、8月に東京都中野区、2019年1月に群馬県大泉町と千葉県千葉市が、新たに「同性パートナーシップ証明」制度をスタートさせました。2019年1月末現在で、11の自治体が、条例もしくは要綱などによって同制度を導入しており、「証明」を受けた同性パートナーは、全国で349組にのぼっています(2019年2月末時点)。2019年4月には東京都府中市、大阪府堺市、熊本県熊本市、岡山県総社市、5月には神奈川県横須賀市でも開始される予定です(茨城県や東京都豊島区、港区などでも導入を検討中)。

 また2019年2月には、役所に婚姻届を出したものの、不受理とされた同性カップル13組が、「日本で同性婚が認められないのは、憲法が保障する婚姻の自由を侵害し、法の下の平等にも反する」として国に損害賠償を求め、東京、名古屋、大阪、札幌の4地裁に一斉提訴しました。これは日本で同性婚を実現させることを目的とした動きであり、司法がどのような判断を下すのか、非常に興味深いところです。

 ほかにも、厚生労働省が「モデル就業規則」を改訂し、性的指向・性自認に関するハラスメント禁止を明記する、野党6党派が「LGBT差別解消法案」を国会に提出するなど、「世の中の変化」を感じるような出来事が、この一年にもたくさんありましたし、セクシュアルマイノリティに関する研修やシンポジウムを行う企業や自治体も増えているようです。