就活生たち
学生も企業も、新卒採用で人生が決まるという考えは捨てるべきだ。それよりも楠木建教授の言うように「やりたいことをやる」という意識を持つべきだ 写真:森田直樹/アフロ

 先日、「NHK就活生応援キャンペーン」というテレビ番組を見た。企業の人事担当者が、「就職試験での問題の意図は何か」「企業はどんな人物を求めているか」などを、懇切丁寧に解説する内容だった。

 新聞や雑誌での新卒採用特集などの記事を読んでみると、多くの企業で求められている人材とは、夢や志を持ち、挑戦と変革により新たな価値を創造して未来を切り開き、世界で戦えるイノベーターなのだという。こんな人材がいたら私がすぐに採用したいくらいだが、見つけるのは竿竹で星を打つほど難しいだろう。

 日本にある、新卒採用に対して、学生も企業も極端なほど重視する「新卒採用信奉主義」ともいえる風潮は、最初の就職で人生が決まってしまうという考えが根強く残っていることが背景にある。そのため就職ではなく「就社」といった考え方をする。「就職は大切な25歳までの選択だ」と唱えている有識者もいた。

 確かに、高度成長期での終身雇用であれば、最初に就職した企業で人生が決まっていたかもしれない。それに経済が成長していたため、どの会社に入社しても人生は何とかなった。就職に勝ち組も負け組もあまりなかったのである。