ドナルド・トランプ米大統領が民主党による自身の弾劾を望んでいたとしたらどうなるだろうか?まあ、その可能性は高くないだろう。下院での弾劾訴追、その後上院での見せしめのような弾劾裁判の辱めを受けることを望む者はいないはずだ。しかし、トランプ氏が弾劾を自ら望むというシナリオが妥当にさえ思えるという事実は、民主党が弾劾を検討する上で直面するであろうリスクを浮き彫りにする。弾劾が裏目に出るリスクは極めて大きいのだ。身をもって前回の弾劾を経験した(そして弾劾騒動の結末を覚えている)民主党が、弾劾へと突き進むことに最も消極的である理由はこれだ。就任前からのトランプ氏に関する動向はすべて、トランプ氏が明白に特定できる敵を好み、そして好戦的であることを示唆している。トランプ氏は反撃を食らわす「カウンターパンチャー」を自称し、戦う相手によって自身の立場を定め、他とは一線を画す戦いの手法をとるのは周知の通りだ。弾劾を巡っても、トランプ氏はまさにこうした戦いを繰り広げるだろう。