 写真はイメージです Photo:PIXTA
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妊娠出産によって女性の身体は大きな変化を経験する。その中の1つとして、「胎児の細胞は親の体内に定着し、臍帯が切断された後も長期間にわたって残る」ことが科学的に証明されているのだとか。それは果たして母親の健康状態にどんな影響を与えるのか、米国人ジャーナリストが解説する。※本稿は、チェルシー・コナボイ(著)、竹内薫(訳)『奇跡の母親脳』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
妊娠出産によって
脳にどんな変化が起きるのか
親の脳に関する神経科学はまだ若い分野だ。好奇心旺盛な4歳児のように、まだ答えの出ない「なぜ」「どうやって」「何が」に満ちている。いくつか例を挙げてみよう。一見単純そうで、実は適切な答えが見つかっていない問いから始めよう。
脳の変化は出産にどんな影響を及ぼすだろう?
イスラエルのテル=ハイ大学で科学哲学を研究するオルリ・ダハンが最近指摘したことがある。親の脳の神経科学研究は、脳の変化が親になる準備とどう関わるかに注目する一方、陣痛と分娩にほとんど触れていないというのだ。実際、陣痛を引き起こしたり持続させたりする脳の正確なメカニズムや環境要因、医療介入が何をどう左右するか科学者たちはまだ解明できていない。
ダハンは興味深い仮説を立てている。人間は進化の過程で、出産中に特殊な意識状態に入る能力を獲得したのではないかというのだ。注意の集中、時間感覚の変容、痛みの軽減などだ。研究者が明らかにしてきた脳の変化の一部がこの機能を担っているのかもしれない。彼女はこう述べている。「脳は出産で能動的かつ要となる役割を果たしており、出産そのものが脳の神経可塑性を必要とするプロセスである可能性がある」
腸と脳のつながりについては?







