運送会社が保有する中古トラックなどの商用車両に特化した売買プラットフォーム「トラッカーズ」は、これまでファクスや電話による往復のやりとりが必要だった商用車両の売買を、ネット上で完結させた。“中古トラック版メルカリ”ともいえるこのサービスを手がけるのは、リクルート出身で、家業でも中古車売買業を経験したAzoop代表取締役の朴貴頌氏だ。朴氏はトラッカーズを足がかりに、アナログな運送業界に新風を吹き込もうとしている。(フリーライター 橋本愛喜)

Azoop代表取締役の朴貴頌氏Azoop代表取締役の朴貴頌氏 Photo by Aiki Hashimoto

リクルートの営業、家業の中古トラック売買を経て起業

 Azoopは、2017年設立のスタートアップだ。代表取締役の朴貴頌氏は、新卒でリクルートに入社し、人材領域の営業マンとして活躍。2015年に同社を退職して、家業である愛知県の中古トラック売買業・日光オートに入社。東京拠点の立ち上げを担当した。そこでいまだアナログなままの運送業界に衝撃を受けたと同時に、約15兆円規模という巨大かつ、高いポテンシャルを秘めた市場に興味を持ち独立。2017年、東京でAzoopを創業した。

「運送業界では、企業間での受発注は電話が普通です。中古トラックを販売する際、『クルマが写ったカラー写真をファクスで送ってくれ』と言われることもありました。会社にパソコンはあっても、メールアドレスは1つしかないような状態がこの業界の普通です。そんな業界をITの力で変革し、どんぶり勘定型の経営を可視化できるようにすれば、仕事の効率化や利益の最大化が実現できると思ったんです」(朴氏)

 そんな“運送業界の構造改革”の第1弾として2018年1月にリリースしたのが、商用車両売買プラットフォームの「トラッカーズ」だ。