スタートアップ転職スタートアップ企業へ転職しても年収が下がらないケースが増えてきています Photo:PIXTA

「年収ダウンは当たり前」
そんなスタートアップ企業の採用に変化

 戦後最長の好景気と言われながら、給与がなかなか上がらないことが問題になっていますが、スタートアップ企業の採用においては必ずしも当てはまりません。実際、昔と比べて、スタートアップ企業では経営幹部級やエンジニアを採用する際の提示金額が上がっているからです。

 ここでいう「スタートアップ企業」とは、まだ立ち上げたばかりで商品やサービスもない創業期ではなく、すでに収益化が始まっている段階以降の企業を指します。

 経営幹部は社長の人脈で連れてくる人が大半で、転職してきた社員の給与は前職より下がる、というのが以前のスタートアップ企業の一般的な姿でした。しかし現在は、前職の年収が1200万円の候補者に同額でオファーするようなケースもありますし、大手企業と候補者の取り合いになってスタートアップが勝つパターンもよくあります。

 さすがに年収1200万円の候補者に対し2000万円のオファーを出すといったバブリーなケースは見かけませんが、給与面で我慢するのが大前提だったスタートアップ企業への転職が変化してきているようです。

 これまでスタートアップ企業への転職は年収がネックになることが多く、本人が転職を希望したとしても妻が転職を反対する「嫁ブロック」にあったりして諦めるパターンをよく見かけました。しかし、そうしたケースは減少しています。

 スタートアップ企業の提示額が改善した理由は、資金調達をしやすくなったことに尽きます。要するに、ベンチャーキャピタル等から資金が潤沢に流れてきているのです。

 一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターの調査では、国内ベンチャーキャピタルの2017年度投資額は1976億円で前年度比29%増、投資件数は1579件で同14%増でした。このうち国内向けの投資額は1362億円で同25%増、海外向けは614億円で43%増。この調査からもスタートアップへの資金流入が増えていることがわかります。