

こうした因果関係分を割り引く方法として、統計の世界では「特化度」という指標を用いることが多い。例えば、過去10年間の子ども人口の増加率を、同じ期間の総人口増加率で割ると「子ども人口増加率特化度」が求められる。
なお、国勢調査は便宜的に年齢を5歳で刻むが、幼児というと6歳未満の未就学児と考えるのが普通だろう。そこで以下では、幼児人口の定義を6歳未満に改めることにする。
2000年~10年の東京23区の総人口増加率は10%。6歳未満の幼児人口増加率は7%。したがって、幼児人口増加率特化度は0.7となる。
ちなみに、全国平均値は▲11.9、東京都多摩地域は▲0.2。数字にマイナスがつくと、総人口は増えたが幼児人口は減ったことを意味する(どちらも減少なら特化度はプラスになるが、東京にはその例はない)。
この幼児人口増加率特化度を23区別に見ると、いくつもの興味深い結果が浮かび上がってくる。
まずは数字がプラスの区とマイナスの区に分けてみよう。プラスが14区、マイナスが9区。しかも、プラスの14区のうち13区で特化度が1以上、つまり総人口の伸び以上に幼児人口が増加している。子どもが減っている区と、目立って増えている区。まさに真二つといえる結果だ。