2010年国勢調査による核家族の割合は、全国平均で56%。1920年(大正9年)には54%だったから、数字にほとんど変化はない。

 では、わが国の家族の形は変わっていないのか。そうではない。核家族以外の中身は激変している。現在の構成は、ひとり暮らしが32%、3世代世帯が7%、その他が4%。一方大正9年は、ひとり暮らし7%に対し、3世代世帯を含む直系拡大家族が31%、その他が8%。かつての日本では、多世代同居家族がごく当たり前だった。

3世代同居は時代遅れ?

東京23区の3世代世帯の割合は、全国平均をさらに大きく下回る2.0%。日本一3世代同居が多い山形県(21.5%)の1割にも満たない。

 東京は、世帯の約半分がひとり暮らしだ。3世代同居どころか、そもそも家族と暮らす人自体が少ない。しかし、親族世帯(家族と暮らしている世帯)に占める3世帯同居の割合を見ても、わずかに4.1%。全国平均(11%)の半分以下に止まる。23区トップの江戸川区を47都道府県のランキングの中に置くと、43位の北海道と44位の神奈川県の間。つまり、23区一は全国の下から5番目になる。

 まさに稀有な存在と呼ぶしかない東京の3世代同居。だが、わが国の伝統的な家族形態である多世代同居には、数の多寡では計れない象徴的な意味があるはずだ。

 もう一度3世代同居比率の区別順位を見てみよう。1位・江戸川区、2位・墨田区、3位・荒川区。以下、上位にズラリと東部下町の各区が続く。逆に順位が低いのは、港、中央といった都心区と並び、21位の目黒区、20位の世田谷区、18位の杉並区など西部山の手の各区が目立つ(下のグラフ参照)

 3世代同居が時代遅れだとすると、都心や山の手はトレンディな街ということで説明が終わる。だが、それで済ませてよいのだろうか。 

【図1】親族世帯に占める3世代同居の割合
  資料:総務省統計局「国勢調査」より作成 
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※大正9年の構成比は、「平成18年版少子化社会白書」による