本当の幸せは、人間関係で得られる幸せ

年収1億円になる人は「人間関係」が違う本田健(ほんだ・けん)
作家
経営コンサルタント、投資家を経て、育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」「ライフワーク」「ワクワクする生き方」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は3500万ダウンロードを突破。著書は、100万部を突破した『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)など、著書は130冊以上、累計発行部数は700万部を突破している。2019年6月にはアメリカの出版社Simon&Schuster(サイモン&シュスター)社から、初の英語での書き下ろしの著作「happy money」を出版。また同作はヨーロッパ、アジア、中南米など、世界25ヵ国以上の国で発売されることが決まっている。(Photo by 森藤ヒサシ)

本田:『大富豪からの手紙』の中で書いたのですが、私は、「本当の幸せは、『人間関係で得られる幸せ』にほかならない」と考えています。

どんなにお金を得ようとも、どんなに権力を得ようとも、それだけでは人間は幸せになれない。人間関係が良くなければ、それは不幸な生き方だと思います。
山下さんが、人間関係を良くするために、心がけていることを教えていただけますか?

山下:ひとつは、「相手に嫌われても、自分からは嫌いにならない」ことです。
たとえば、人づてに「Aさんが山下さんのことを、嫌いだって言ってたよ」と聞いたとき、「僕もAさんのことが嫌いだから」と言い返すことはありません。
もちろん、私にも苦手な人はいますから、「距離を置くこと」はありますが、こちらから関係を断ち切ることはないですね。

それともうひとつは、「挨拶」「返事」「笑顔」を徹底することです。弊社の退職理由でもっとも多いのは、「人間関係」なんですね。辞めていった人の共通点を探していくと、この3つができていないことがわかりました。
「挨拶」「返事」「笑顔」ができると、人に好かれ、敵をつくりません。店舗に活気が出るので、たくさんの人から協力を得られるようになります。

本田:以前、渡邉美樹(わたなべ・みき)さん(参議院議員、ワタミ株式会社創業者)に、「人をたくさん雇用するのは負担ではありませんか? 人を雇えば雇うだけ、経費もかかりますよね?」と、聞いてみたことがあります。
すると、渡邉美樹さんは、「そんなふうに考えたことは一度もない。ただただ、仲間が増えることが嬉しい」ととおっしゃいました。

山下:わかる気がします。たくさんの人と一緒に仕事ができたり、たくさんの雇用を創出できることは、私にとっても嬉しいことですから。

本田:今、スタッフは何名ですか?

山下:約3000人です。

本田:さすがに全員の名前は覚えられませんよね?

山下:全員の名前までは覚えていませんが、定期的に店舗の視察をしているので、顔を見れば、「以前、こういう話をした」とか「あのとき、あの場所で会った」といったことは、かなり憶えていますね。

本田:山下さんを見ていると、「アーティストとしての感性」と、「経営者としての感性」がバランスよくミックスされている印象があります。
ちょっとした運命のいたずらで今は経営者になっているけれど、音楽やアートの分野でも成功されたのではないかな、と。

山下:美容師はクリエイティブな仕事なので、アーティストとしての一面があるのかもしれませんね。

本田:ソニーの社長をされた大賀典雄(おおが・のりお)さん(1982年にソニーの社長就任。初代最高経営責任者)も、指揮者をされていましたし、アートと経営は似ているのかもしれませんね。

山下:経営も、アートも、美容師の仕事も、「デザインをする」という点で似ているのでしょう。

本田:アートでも、経営でも、大切なのは「美学」を持つことだと私は思っています。
『年収1億円になる人の習慣』を読んでいると、行間のいたるところから、山下さんの「美学」を感じます。

店舗経営において効率を優先するのであれば、極端な話、「一番安いインテリア」をそろえればいいわけです。でも、それをしたら、お客様を癒す空間はつくれませんよね。
経営の効率性を計算しながら、美学を失わずに店舗をデザインしていく。山下さんは、そのバランス感覚を高いレベルでお持ちなのだと思います。

山下:本田さんにそう言っていただけると、とても、自信になります。ありがとうございます!

(全3回終了)

年収1億円になる人は「人間関係」が違う