太陽光以外の再エネが本格的に実用化されるまで、FITが続くか疑問視される
Photo:AFLO

 7月1日に開始が迫った、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)だが、関係者からは開始前から早くも「賞味期限は3年」という声が漏れている。

 FITとは、太陽光や風力といった再エネの発電事業者が発電した電力を、電力会社が買い取ることを義務付けた制度のこと。

 買取価格と期間は政府が決めるが、FIT開始時の設定が太陽光発電で1キロワット時当たり42円(買い取り期間20年間、出力10キロワット以上)となるなど、再エネ事業者にかなり有利な設定ということが、かねて指摘されている。

 その理由は、再エネ普及に重点を置き、制度の開始後3年間は例外的に、再エネ事業者の利潤に特に配慮するとしたためだ。そしてこれこそが、「賞味期限が3年」と揶揄される理由でもある。

 買取価格と期間の設定は毎年行われるが、この優遇は「無論、3年間経過後は廃止される」(調達価格等算定委員会)もので、それ以降は上乗せ分がなくなることは確実。

「再エネ事業者は3年を過ぎる前に、早く電力会社と売電契約を結ぶべき」と、三宅法律事務所の渡邉雅之弁護士は指摘する。

 このタイムリミットには、再エネ事業者への融資をもくろむ銀行も注目しており、「賞味期限が切れる前になるべく早く融資をして、おいしい上澄みを狙いたい」(大手銀行関係者)と、スタートダッシュの準備中だ。