物質的な豊かさではなく、新しい体験やサービスの価値が求められる今の時代、企業は創造的な文化や仕組みを自社に取り入れ、定着させないと厳しい競争を生き残ることができない。とりわけ人口減少、高齢化、労働力不足、経済・情報の格差拡大など、ビジネスに関する多くの課題を抱えているのが地方の企業である。

実際のところ、社内で新規事業の担当に任命され、何をどうしてよいかわからずに悩むビジネスパーソンや、一念発起して起業したものの、自社の商圏を確立できずに悪戦苦闘を続ける経営者らは多い。その一方で、ビジネスの課題を解決し、新しい価値を創出することに成功して、にわかに注目を集めているパイオニアたちがいる。そのなかには、地方のスタートアップ経営者も少なからずいる。彼らはなぜ、どのようにして成功できたのか。興味深い経歴を持つ経営者に「成功するための思考法」を聞いた。(取材・文/フリーライター 小林直美)

※記事内の写真はAirbnbより引用

「何もない」こそグローバル!和歌山のゲストハウスが変える集客常識
和歌山の「何もない」山里で、外国人観光客を虜にしているゲストハウスの魅力とは

和歌山には外国人に訴求できる
魅力と将来性がある

ゲストハウスの外観
古民家を利用した志高庵

 和歌山県かつらぎ町。昔話の世界に迷い込んだような山里の風景の中に、どっしりと風格のある築100年以上の古民家を利用したゲストハウスがある。1棟貸しで予約は1日1組だけ。「和歌山といふぜいたく」というコンセプトのもと、伝統的な日本の暮らしが体験できるユニークな宿泊施設だ。2004年にユネスコ世界遺産に登録された高野山(紀伊山地の霊場と参詣道)にも近いことから、海外からの観光客にも多く利用されているという。

外国人観光客
笑顔で記念撮影を

 このゲストハウスの運営団体「古都里」(ことり)の代表としてプロジェクトを引っ張るのは、豊原弘恵氏。その経歴はユニークだ。大学でスペイン語を学び、卒業後はブードゥー教の研究のためにドミニカ共和国へ渡り、現地で結婚、出産を経験。帰国後に語学力と海外経験を生かして、貿易代行会社を起業――。

 様々なかたちで諸外国との接点を持ってきた経験をもとに、外国人にも訴求できる魅力と将来性を和歌山に見出したのはなぜか。地方初のビジネスの魅力とはなにか。その経緯と未来図を豊原弘恵氏に聞いた。