東急の挑戦が駅ATMの
管理コスト削減に寄与する可能性も

 これは駅の券売機も全く同じ構図にある。券売機にたまった1万円札は売上金として回収し、警備会社に依頼して現金輸送しなければならず、コストや手間に加えてセキュリティー上のリスクも伴う。一方、駅設置のATMにも警備業者が定期的に紙幣を補充にやってくる。この二つを統合すれば紙幣の「行って来い」が相殺されて、管理コストは大きく削減される。これぞまさにウィンウィンの関係というわけだ。

 東急の担当者は、現時点では1万円札の需要(引き出し)と供給(入金)のバランスの様子を見ているとした上で、将来的にはそうした現金輸送コスト削減への期待もあることを明かした。

 キャッシュレス化が進展しても、現金の取り扱いがゼロになることは当面は考えにくい。ATMの維持が困難になり淘汰が進む中で、セブン銀行のように持続可能なサービス構築に成功すれば、残ったニーズを独占する残存者利益も期待できるだろう。

 東急のキャッシュアウトサービスの出発点には「キャッシュレス社会が到来するからこそ、手軽に現金が引き出せる環境整備が重要になる」という思いがあったという。人とカネが集まる駅という拠点が、これからも街の中心に居続けることができるか、東急の小さくも大きな挑戦は始まったばかりだ。