銀行に敬遠される仮想通貨業者は往々にして、決済処理などの金融サービスを、えたいの知れない仲介業者の手に委ねる。仮想通貨取引所ビットフィネックスから顧客の資金が消えるという謎の事件を巡り、渦中にあるのもそうした業者の一つだ。人気の高い仮想通貨「Tether(テザー)」の取引を手掛けるビットフィネックスは、顧客の資金引き出しに対応するため、パナマを拠点とする決済サービス会社クリプト・キャピタルに8億5000万ドル(約930億円)を送金した後、資金にアクセスできなくなった。ニューヨーク州司法長官が先月、明らかにした。それ以降、クリプト・キャピタルの法的問題が明るみに出ている。米司法省は10月、ある企業の代理となり、アリゾナ州のレジナルド・ファウラー容疑者がある企業に代わって開設した複数の銀行口座を凍結した。司法省はその企業の名は明かさなかったが、4月30日に提出されたファウラー容疑者の起訴状に記載されたこの会社のウェブサイトに関する説明は、クリプト・キャピタルのものと一致する。一方、ポーランド当局はクリプト・キャピタルが保有する銀行口座にあった約2億7000万ドルを差し押さえている。