会社が借入金を調達する理由と、返済原資を理解する

 会社が、金融機関から調達する借入金は、運転資金と設備資金に大別されます。

 借入金を調達する理由は様々ですが、基本的には自己資金だけでは資金繰りを賄いきれないために、資金を補填する目的で行われます。

 まず、運転資金についてですが、これは主に月末の時点で「売上債権+棚卸資産-仕入債務」の式で算出します。

  ・売上債権…売掛金と受取手形のうち、正常債権を含めて現段階で回収できていない売上代金
  ・棚卸資産(在庫)…未使用の材料や製造途中の仕掛品、完成した製品、商品など
  ・仕入債務…買掛金と支払手形のうち、規定のサイトで支払う債務を含めて、現段階で支払っていない仕入代金

 この運転資金の金額が大きければ大きいほど運転資金が必要、逆に小さければ小さいほど運転資金が不要ということになります。

 会社としては売上債権の回収を早める、在庫を減らす、仕入債務の支払いサイトを交渉して少し延ばしてもらう。これらの対応を行うことで運転資金の必要額の減少に努めることが重要です。

 当然のことですが、運転資金が減少すれば、借入金の返済利息も少なくなります。高収益体質、借入金に依存しない健全な財務体質を求めるには、必要な運転資金を最低限に留める努力が必要となります。

返済原資を理解すればイヤでもキャッシュフローを意識する

 次に、設備資金についてですが、これは先ほどの設備投資の項目でお伝えしたように、建物や工場、機械、車両、備品など、多額の設備を購入する際に、その購入資金の一部もしくは全部を金融機関からの資金調達によって賄う方法です。

 これらの設備資金は、減価償却という方法を使って、決められた年数(これを耐用年数と言います)に応じて経費化していきます。

 このように、主な資金調達としては、運転資金と設備資金という方法が存在していますが、いずれにしても、借入金は決められた返済ルールに応じて、返済しなければなりません。

 そして返済原資となる資金は、損益計算書の一番下に表示される法人税を払った後の利益(これを税引後当期純利益といいます)、そして営業キャッシュフローと投資キャッシュフローから捻出された資金(これをフリーキャッシュフローと言います)、この2つの原資をから借入金の元金支払いが行われます。

 この返済原資を理解しておけば、利益はもちろんのこと、常にキャッシュフローに対する意識を持って仕事に臨むことができますし、より自社の資金繰りに合致した行動がとれるようになります。