そこで現在では、A380のように超大型機を飛ばせるのは東京-ホノルル線のように、年間を通じて大きな旅客需要を見込める路線に限られるというわけです。ホノルル線は日本からの旅行客が最も多い路線の1つで、その意味ではANAのA380の導入は理にかなってはいるのですが、危惧されることもあります。それはホノルル線の航空券価格のデフレ化です。

 航空路線は、比較的需要のあるシーズンで人気の曜日は順調に席が埋まるのですが、オフシーズンはそのままでは空席がたくさん出てしまいます。そこで旅行会社に格安航空券や格安ツアーを設定してもらい、需要を創造して、それで満席にして飛行機を飛ばすというのが、航空会社の基本的なビジネスの構造になっています。

 ANAのホノルル線の場合、全520席のうちエコノミークラスが383席も設定されているのは、このように安売りで需要をつくり出せるのが、主にエコノミークラスだからです。とはいえ383席というのは、これまでの中型機の満席の席数よりも多い数なので、航空券の値崩れが起きないかが懸念されるようになるわけです。

閑散期に格安航空券を発売すると
いつの間にかそれが「基準」に

 デフレ経済を振り返ってみるとよくわかることですが、本来は需要創造が必要な閑散期だけ格安航空券を発売していたつもりが、やがて消費者の側から見れば、その格安価格が基準になってしまうものです。そうなると逆に、それまでの普通の航空券価格が割高に感じられるようになってきます。

 さらに閑散期には、エコノミークラスを格安航空券で埋めるだけではなく、ビジネスクラスの空席を埋めるためにプレミアムエコノミーの乗客をアップグレードし、それで空いたプレミアムエコノミーのシートを埋めるために、エコノミークラスの乗客をアップグレードするようになります。

 そうなってくると、本来は収益性の高いビジネスクラスのシートにも安い料金の旅客が入ってくるようになり、全体的に航空運賃はデフレ化していくのです。