当時SUWAに参加していた敏実(ミンス)集団は最後までアップルとの間の契約修正にこだわったとされるが、リー氏はそれを拒否し、事実上、SUWAからミンスを追放して、早期のJDIとの合意を図った。

 金融マンとして一刻も早くフィーを確保したかったのだろう。

 そもそもウィンストン・リー氏とは何者なのか。

 台湾出身の投資銀行マンだが、中国シルクロード・インベストメントキャピタル(CSIC)という投資ファンドの代表や、ハーベスト・テックのゼネラルマネージャーを名乗ることもある。

 だが、正式にはCSICやハーベストには所属していないもようで「中国ではよくあることだが、名刺を自分で刷って肩書を名乗っている」(台湾経済関係者)のが実態のようだ。

 リー氏は、中国浙江省で有機ELパネル工場を建設する構想を打ち出して、浙江省の袁家軍省長を巻き込んだ。しかし、中国中央政府が難色を示して事実上、計画は頓挫している。

 JDIは、早期決着を焦ったあまりに急ごしらえで台中連合と基本合意した結果、いまだに金融支援は正式決定に至っていない。

 実は、JDIとSUWAが4月12日に基本合意に至るまで、JDI内部では台中連合との交渉が決裂すれば「法的整理しかない」との見方が広がっていた。

 JDIと経営コンサルタント契約を結んでいた経営共創基盤は「法的整理をした場合の対策」として、京セラに支援を要請した事実もある。京セラは、万が一の場合は車載用液晶事業のみを引き取ることに含みを残したという。

 台中連合との交渉が今後破談になれば、そのシナリオが再燃するのは間違いない。JDIは、台湾の部品メーカーや中国のパネルメーカーなど新たなスポンサー候補にアプローチを続け、協議を急ぐ必要がある。

『週刊ダイヤモンド』6月1日号の第2特集では、さらにJDI過去7年の失態、および“再編第2章”の行方に迫ります。