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政府系ファンドがつくり出した「日の丸液晶」が、ついに台湾と中国の企業連合に身売りされることになった。その大きな原因の一つになったのが、首をかしげたくなるような財務運営だった。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
「あそこの財務戦略は当初から本当にひどかったですよね。ちゃんとしたCFO(最高財務責任者)がいたら、もう少し違っていたと思いますよ」
台湾と中国の企業連合に身売りすることを決めた、中小型液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)について、ある金融機関の幹部はそう振り返る。
確かに、JDIは出足からつまずきの連続だった。
政府系ファンドの産業革新機構が主導するかたちで、東芝、ソニー、日立製作所の液晶事業を統合し発足したのは、今から7年前。その年に稼働した石川県の能美工場は、設備投資に必要な資金1000億円弱を米アップルから借り受けており、5年間で返済する契約を結んでいた。