中小型液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)が12日、台湾・中国の企業連合の軍門に下ると正式に発表した。官民ファンドのINCJが主導した「日の丸ディスプレー」は頓挫して身売りで再建を目指すが、先行きには暗雲が漂っている。(ダイヤモンド編集部委嘱記者 村井令二)
「ようやくまとまったようですね」。液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)に対する台中連合との出資交渉が決着し、筆頭株主のINCJ(旧産業革新機構)、それを所管する経済産業省の関係者は、胸をなでおろしている。が、それも束の間の安らぎであろう。
複数の関係者によると、JDIの経営コンサルタントを務める経営共創基盤は台中連合との交渉が破談になった場合の策として、密かに法的整理のシミュレーションをしていたという。だが、JDIが経営破たんすれば、経産省への責任追及は免れない。総額4000億円近くを支援してきたINCJにとっても巨額の損失に繋がる。もはや、いくら厳しい交渉であってもJDI側から台中連合との交渉を投げ出すことは許されなかった。
JDIは12日、台中連合から最大800億円の資金調達をすると発表した。その条件は事実上の身売りに等しい。普通株に加えて新株予約権付社債を発行することで議決権は49%に抑える計画だが、支援の条件に過半数の取締役の受け入れが盛り込まれた。
なお新株の発行価格はわずか50円。2014年上場時の公開価格900円を遥かに下回る。