キャリアプラン先が予測できない現代。キャリアはどのように考えれば良いのでしょうか? Photo:PIXTA

終身雇用のはしごを外される
大企業の中高年社員

 大企業のトップや経済界の要人から「終身雇用を守っていくのは難しい」「終身雇用は制度疲労を起こしている」といった、日本的雇用システムの見直しを唱える発言が相次いでいます。また、そうした雇用システムでやってきた大企業では、45歳以上の社員を中心にリストラを実施する動きが目立っています。

 年功序列、終身雇用を特徴とする日本的雇用システムでは、若い頃は給与が安く、年を経るにしたがって上昇していく「後払い型」の賃金制度になっています。しかし、競争がグローバルに繰り広げられる世界ではそれが足かせになり、優秀な人材の獲得ができません。給与制度を柔軟なものに変えていくことは、企業にとって必須の課題だと思います。

 そもそも年功序列、終身雇用は「定年退職するまで会社はつぶれない」ことが前提になっていますが、その前提が怪しくなってきています。30年後にはトヨタですら、つぶれないにせよ、自動車メーカーから別の形態にガラリと変わっているかもしれません。

 ただ、そこで割を食うのが後払い給与制度の中で働いてきた中高年です。若い頃は会社のために安い賃金で働いて、これから後払いの分を取り戻そうという時期に「終身雇用を守っていくのは難しい」とリストラの対象にされるのですから、本当にかわいそうというほかありません。

 もしリストラ対象者が、会社が「使えない」と判断した人たちだとすれば、その会社の人材育成には大きな問題があったといえます。新卒時の採用基準でいえばポテンシャルの高い人たちだったはずなのに、20年ほど1つの会社に閉じ込められているうちに、「使えない」社員になってしまったのですから。