「人生100年時代」に
合わせた制度変更は必要だ

 そもそも現在の公的年金制度は55歳定年、平均寿命が65歳という昭和30年代頃に設計されたものだ。人生の最後の5~10年を年金で生活するという前提で設計されている制度なのである。今のように平均寿命が80歳を超え、人生100年時代といわれるようになってくると、定年後も20~30年、場合によっては40年近くという長い時間がある。そんな世の中で現行の制度を変えずに制度を維持していくのはかなり無理があるといえるだろう。

 もちろんこれまでにも平均寿命の伸長によって制度は見直されてきてはいるものの、今後は70歳や75歳まで働くという人も増えてくるだろうから、それに合わせた制度を再構築しなければならないのは必至だ。

 ただ、誤解のないように繰り返すが、現在の年金支給開始年齢を引き上げるということではないし、そのこと自体は検討もされていない。直近の5月15日に開催された、前述の「未来投資会議」の配布資料「高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用の促進」を見ても、『70歳までの就業機会の確保に伴い、年金支給開始年齢の引上げは行わない。他方、年金受給開始年齢を自分で選択できる範囲(現在は70歳まで選択可)は拡大する』と、はっきり明記されている。

 年金の支給開始年齢がすぐにでも引き上げられるということではないので、あわてる必要はない。要は今後の自分の仕事や生活のスタイルによって、リタイアする年齢や年金の受け取り時期・方法をより柔軟にしていこうと考えればいいのだ。今年は5年に一度、公的年金の財政検証が行われる年でもあるから、今後はさらに具体的な話が出てくるかもしれない。注目しておく必要があるだろう。