証券マンの「知ったかぶり本能」

 証券マンは一般に、「他人が知らない特別な情報」を自分が知っていることを誇示したい生き物であり、この感覚は本能に近いレベルまで証券マンの価値観に深くインストールされている。また彼らは、顧客から手数料をもらうことができる根拠は、アドバイスも含む広義の「情報」を自らが提供しているからだというフィクションを抱え込んで仕事をしている。

 正直に言うなら、筆者も証券マンでありこの点にあって例外ではない。ただ、「他人が知らない特別な情報」に触れる機会がほとんどないだけだ(一方、評論家としては特別情報の外部者である方が気楽でかつ好都合だ)。

 そして、野村證券の社員の多くは、業界最大手で自社が特別な存在だという自負があるので、証券マンとしての「知ったかぶり本能」が他社よりもかなり強い(注:筆者は1980年代のバブルの時期に野村證券投資信託委託〈現・野村アセットマネジメント〉に勤めたことがある)。野村マンには、行政などに関する特別な情報を持っていることを同僚や顧客に伝えて、自分を大きく見せたい欲望がある。

 推察するに、大崎氏は、野村グループの社員としての帰属意識の向け先を少々間違っていたこととともに、野村マンの「知ったかぶり本能」を過小評価したのではないだろうか。

 情報を漏らした相手が、ストラテジストであっても、機関投資家営業の担当者であっても、相手が野村證券の社員である以上、その相手までで情報伝達が止まると想定したのなら「甘い!」と言うしかない。「証券マンの口に戸は立てられない」のだ。