就任当時は、僕の世話役の秘書係が前室に6人くらいいましたかね。彼ら彼女らがやっていた仕事は、僕が自分でもできることだったので、最終的に前室は秘書長と随行秘書の2名にしました。

 少し話はそれましたが、前述したように大阪府庁の幹部はみな、知事をお殿様のように考えていました。幹部がわざわざ知事室まで来て、お殿様の指示を仰ぐわけです。幹部に来てもらってフェイス・トゥ・フェイスでしか指示を出せないようでは、不効率きわまりないですから、僕はメールを活用することにしたのです。

 幹部に送ったメールは、部下たちへの転送、また転送で、組織の中に広く伝わっていきました。

 ある仕事についてその担当部局の幹部に指示を出すときにも、他の部局の全幹部をCCに入れて一斉メールで知らせました。僕がどんな指示を出すのか、指示を受ける幹部以外にも知ってもらうためです。

 僕は外部から役所に入ってきた人間ですから、僕の考えや思考方法は、役所組織の人たちからすると、よく分からないものだったと思います。一人ひとりと話をして自分の考え方や思考方法を伝えていくやり方もありますが、話す機会がない人には伝わりません。そのため、メールを活用してみんなに伝えました。

 ニュースについての僕の持論をメールに書いて伝えたのも、僕の思考方法を知ってもらうためです。「こういう新聞記事が出ていたが、こう思う」とか「このニュースについて、こういう意見が出ているが、違うのではないか」といったことを書きました。

トップの思考方法がわかれば、
組織は進んで「忖度」する

 メールが転送されて、僕の指示の出し方、考え、思考方法が組織に浸透していきます。そうすると、現場の職員や幹部までが、「この案件なら、知事はこう考えるだろう」「知事からこういう指示が出るだろう」「こういうことをすると、知事からこれを言われるだろう」と予測するようになります。ある意味、組織に進んで忖度してもらうようにするのです。