喫煙可の室内は、どんなに換気してもたばこ臭く、壁や天井を拭くとべったりと汚れが付く。喫煙者の肺の手術を一度見学したことがあるが、焦げ過ぎたホルモン焼きのように真っ黒だった。仮に、肺がんにならなくとも、あんな肺で生きているのが怖くならないのは正常なのだろうか。

 2017年の出火原因のトップは「たばこの不始末」、十数年間トップだった「放火」を追い抜いた(消防統計より)。

 これらの事実、愛煙家はスルーできても、それ以外の人間(嫌煙家だけではない)の目には奇異に映ることに気付いてほしい。

『ドラえもん』コミックスには、のび助の禁煙のエピソードも登場する。

 禁煙を決意するも、すぐにガマンできず吸ってしまい、ママに「これで何度目の禁煙失敗かしら」とあきれられ、「しばらく吸わないとイライラしてつい」と言い訳をするのび助。情けない。

「完全にニコチン中毒ね」と嘆くママの言葉を聞き、 のび太がニコチン中毒の意味をドラえもんに尋ねると、ドラえもんは「ニコチンとはたばこに含まれている成分さ。それが身体に染み付くとたばこを吸わずにいられなくなるんだよ。頭がボーッとして、イライラして、仕事が手につかなくなる…」と答えた。

 昔の漫画家は、たばこの煙が充満する部屋で仕事をしているイメージがある。ドラえもんの作者、藤子・F・不二雄氏もきっとヘビースモーカーで、禁煙の挫折経験があったのではないだろうか。

 このエピソードのオチは、かなりブラックだ。

 ドラえもんは『ヤメラレン』という「人を中毒にしてしまう秘密道具」でのび助をガム中毒にし、たばこ中毒から離脱させようと試みる。ところがのび助は、今度はガムを噛むことに没頭し、食事を取るのもやめてしまう。

 近年、「加熱式たばこ」や「電子たばこ」が、紙たばこよりも問題が少ないということで普及しているが、ドラえもんの『ヤメラレン』のように、新たな問題が起きる可能性はないのだろうか。やっぱり、中毒は恐ろしい。