統計制度を軽んじている
苦しい言い訳

 このことは一般統計調査の点検結果についてもいえ、「施策立案の参考に用いるものである」「施策の参考資料として用いるものである」こと等を理由として「利用上重大な影響は生じない」としているものが見られた。

 しかし、これは“結論ありき”の苦しい言い訳以外の何ものでもないだろう。

 中にはこんなものまであった。

 農林水産省の森林組合一斉調査に関する不適切事案の概要において、「調査対象の報告誤りにより、全149表のうち1表の一部項目を訂正(森林経営計画の件数)。監督指針等の森林組合制度の見直し等の基礎資料に用いているが、利用上重大な影響は生じないと考えられる。」としている。

 ここに出てくる「基礎資料」という用語に注目してほしい。一般の人の感覚だと、単なる参考資料の類だと思われるかもしれない。

 しかし、これは「霞が関用語」で施策の「企画立案のまさに基礎となる資料」のことであり、“欠かすことのできない”重要なものである。しかも“森林組合制度の見直し”のための基礎資料である。

「重大な影響がない」とどうして言い切れるのか、「ない」ことにしたいだけではないかと思えてならない。

 第1次再発防止策の素案についても、わが国の統計機構が分散型統計機構であることを反映してか、“各府省任せ”という基本的な考え方は変わらないままであり、屋上屋を架すがごとき項目がある。

 その一方、「調査計画の承認審査重点化(調査計画の記載内容の見直し)」では、「調査計画の承認審査については、基幹統計及び一般統計の承認目的に照らし、重要な事項については、引き続き詳細な記載を求めて、重点的に審査する一方、承認後の状況変化に対応しうる適正な幅を持った記載を許容して、調査実施後の検証において確認。」と、統計法違反や統計法の趣旨に照らして“不適切な事例”が数多く見られた。にもかかわらず、統計法に係る総務大臣の権限を弱めるような事項まで記載されている。

 こうしたことから明らかなのは、統計制度を軽んじていることだ。

 そして軽々しく「影響がない」と言ってしまえる程度に「事なかれ主義」が蔓延(まんえん)しており、“その程度”の意識で職務を行っているということであろう。

 これでは再発防止など夢のまた夢であり、日本の統計に対する信頼は下がる一方だ。