イトーヨーカ堂は6月28日、駅ナカ商業施設に初出店する。場所は西武池袋線の練馬高野台駅の商業施設「エミオ練馬高野台」1階。一般的な食品スーパーの半分以下のサイズとなる都市型小型スーパー(約500~900m2)としては、阿佐ヶ谷店、高井戸店に続く3号店となる。
イトーヨーカ堂が都市型小型店に乗り出した背景には、長引くGMS(総合スーパー)事業の苦境がある。
同社の売上高は減少が続いている。昨年度は購入金額のキャッシュバックなどの過度な値引きを改めたことなどで105億円の営業利益を計上したが、それとて、1992年の経常利益975億円のピークに比べれば10分の1に過ぎない。GMSからの脱却は大きな課題だ。
そこで目を付けた一つが首都圏市場だった。
2010年の国勢調査によれば、05年からの5年間で、東京、神奈川、埼玉、千葉で約114万人も増加。今後も首都圏での人口増が続く見通しだ。さらに高齢者や単身世帯の増加に伴い、近くて便利なコンビニや小型スーパーなどの利用者が増えている。
イトーヨーカ堂の都市型小型スーパーでは、競合店との差別化を図るため、生鮮食品では当日朝に収穫した野菜や魚を提供するなど「安心・安全・鮮度」にこだわる。また、惣菜では店内調理の作りたて商品を売りにする。
「ワンランク上質な商品から基本的な商品までを幅広く取り揃えていく」(碓氷雅人・イトーヨーカ堂都市型小型スーパープロジェクトリーダー)という。
さらに今回出店する駅ナカ店の売り場は、大きく生鮮などを扱う「素材ゾーン」と、惣菜などを扱う「製品ゾーン」に分かれており、「朝・昼の時間帯と夕方の時間帯で売り場の顔を大きく変える」(碓井氏)。