しかし、家に上げてもらえるどころか、わずかな時間も説明させてもらえない。お客様にとって、私は「当て馬」だったのだ。他社の値段交渉の為に私の会社の見積書が必要だっただけ…。

 これは本当にむなしかった。

 私はこのような経験をよくしたものだ。お客様から「菊原さんはいい人ですね」と言われることはあったが、契約に至ることはない。

 まさに「骨折り損のくたびれもうけ」だった。

人当たりはいいが
意見ははっきり伝える

 頂点の営業マンの方たちは、過去の私のような「見積書をとられて終わり」などという愚行はしない。

 人当たりはいいが、「意見をハッキリ伝える」という一面も持っている。

 自分の信念に反することに対しては「私はこういったことはしません」とハッキリと拒絶する。妥協はせず、ガンコなまでに信念を貫き通すのだ。

 ハウスメーカー時代の成績のいい先輩もそういう人だった。フォロー中のお客様から見積依頼を受けたのだが、「時間が取れないから郵送してくれ」と言われた。

 それに対して先輩は「話を聞いていただけないのであれば、見積書はお出しできません」とキッパリ断っていた。

 ちなみに、このお客様は「他社の値引きのために見積書を使う」といった悪質なお客様ではない。近くで見ていて《郵送で送っても契約のチャンスがあるんだから、やればいいのに》と思ったものだ。