「世界中が経験したことのない新しい治療や薬の時代に入った」

――海外では米国、ドイツ、英国で承認されて薬価が付いている?

 そうです。欧州はEU(欧州連合)で承認をもらって、個別の国と交渉中。カナダ、豪州は薬価の交渉をしているところです。

――このうち公的保険でまかなう国は?

 EUのほとんどの国とカナダ、豪州。合意する内容はそれぞれ違いますけど、これからの国には公的保険制度があります。米国は公的保険と民間保険が混在しており、支払いシステムが日本とは異なります。

――他の国も公的保険で認めるとなると、世界各国で財政議論、政策論争に発展し、巻き込まれますね。

 日本だけでなく世界中が経験したことのない新しい治療や薬の時代に入ったことを、われわれは認識しなくてはいけない。1つのいい例が(キムリアやゾルゲンスマなどの)細胞・遺伝子療法。死亡率が高かった疾患に1回の治療で生涯にわたる治療効果、もしくは完治させる可能性が持てるようになりました。

 新しい時代において、ノバルティスを含めステークホルダー全員で考えないといけないことが2つあります。1つ目は、1回の投与や治療で一生涯恩恵を受けられる薬の価値を評価するモデルを見いだす必要がある。2つ目が支払い方法です。1回で一生涯恩恵を受けられる治療は、どんな支払い方法にすべきか。支払いを複数年に分けるのか。