価格、コンセプト…
「なぜ売れない」を追究

 営業に移ったばかりのころ、平林は休暇を利用し、趣味のカヤックで対馬から韓国・釜山へ渡った。好奇心から訪ね歩いたのが現地の食品スーパー。そこで陳列棚に並んでいた商品が目に留まった。

 液体の砂糖だ。「日本の家庭では、白い結晶の砂糖が一般的。飲料メーカーに液糖を供給していたが、それを家庭向けに売る発想に衝撃を受けた」。帰国後、平林は液体砂糖の開発に取り掛かる。

 勝算はあった。

 砂糖の用途別消費で、特に減少が著しいのが家庭用だ。共働きや単身世帯が増加し、砂糖を使うような時間を費やす料理は敬遠される傾向にある。だが砂糖が液状であれば溶けやすく、料理の時短に貢献できる。これまで培ったオリゴ糖の技術を用いれば、健康志向のニーズにも応えられる。

 さらに製糖工程のプロである平林が、最もこだわったのが「砂糖屋が一番おいしいと思う砂糖を使う」ということだ。

 それが「ブラウンリカー」と呼ばれる、工程の途中で生み出される茶色い液糖だ。サトウキビ本来の風味が残り、国産100%のナチュラルな印象も伝わりやすい。

 こうしたアイデアを基に12年に発売したのが「オリゴDEクッキング」だ。「クッキング」という商品名に、家庭の料理向けという狙いを込めた。

 だが、これもヒットには程遠かった。「部下の若手営業マンからは、商品が売れないという文句ばかりが上がってきた」と、平林は当時を振り返る。その若手営業マンこそが、04年入社の竹内裕也だった。