ピーチはCEOの井上以下、ANAから各部門のエースが覚悟の上“片道切符”で転籍した。彼らは欧州最大手LCCのライアンエアーを手本にビジネスを研究し尽くした上で、若い女性をターゲットに、気軽に乗れる「空飛ぶ電車」をコンセプトにするなど、独自の戦略を立てた。また、香港の投資家らを株主に迎え、株主の厳しい要求に応えることで自らを鍛えた。

 LCCビジネスは低運賃で提供するために運航効率を極限まで高め、固定費を抑える薄利多売モデル。無駄の排除と搭乗率への執念はフルサービスキャリアの比ではない。

 エアバスA320(180席)の便で収益構造をざっくり捉えると、客単価1万円で搭乗率100%なら1便180万円の収入。運航費用を160万円程度に抑えるのが模範だ。各社の路線網の特徴、「運賃×搭乗率」を最大化する販売戦略、コスト低減力により収益性に差が出る。

 次の図は3社の1便当たりの収益性で、ピーチは他社に比べて費用の割合が低い。ローコストを徹底しているからこそ利益を出す力が強いことが見て取れる。

 ピーチが重視するのは飛行機の1日平均稼働時間。「飛行機を寝かせないよう、深夜便による安近短旅行を提案して、稼働時間を10時間超まで高めた」とCFOの岡村淳也。ビジネスマンの利便性重視でダイヤを組むフルサービスキャリアとは発想が異なる。

 他にも、1台数百万円するセルフチェックイン機を段ボールで自作しコストを10分の1にしたり、業界の常識に縛られない手を繰り出してきた。結果、日本のLCC市場をリードする存在に化けた。