大阪府出身の宏美さん。浩久さんは福岡県出身で、第1子・愛唯ちゃん(8)は里帰り出産だった。復職するときに30日の育休をとった浩久さんだが、愛唯ちゃんと二人きりで出かけても、泣き出したとたんどうして良いかわからず、家にとんぼ返りしたことも。

 宏美さんは初めての復職後について「家事も育児もワンオペ状態だった上、上司も『やれるなら頑張りなよ』という雰囲気。私も働きたかったし、求められるとセーブが効かず、時短勤務なのに夜9時まで残業ということもざらでした。1人目の時は頑張り過ぎました」と振り返る。

 愛唯ちゃんは保育園で夕食まで食べさせてもらい、寝るのが夜11時になることもあった。ある日、愛唯ちゃんに「保育園に行きたくない」と訴えられ、不安定な気持ちに気づいた。

 浩久さんは、次女の出産から40日の育休を取り、家事をすべて引き受けた。

 出社時間を早め、退勤時間を繰り上げて、保育園のお迎えもできるようにした。

「長女の時の育休は、心の半分で『これで同期と差がつく』と思っていました。でも次女のときには、迷いはなかった。子どもが一番という意識がだんだんついてきたんです」

 しかし三女が生まれた2015年の春、育休を申請した浩久さんに、上司は「何回取るつもり?」と尋ねた。忘れがたい一言だった。その年の秋、第4子の妊娠が判明した。

「この先、どうしようか」。何度も夫婦で話し合った。最大限、仕事の時間を削っていたが、家事と仕事で互いに疲れ、家庭はギスギスしていた。

 このとき浩久さんは、課長昇進が目前。さらに忙しくなり、家が回らなくなるのは明らかだった。一方、浩久さんには別の気持ちも芽生えていた。子どもとの生活の楽しさだ。

「このまま企業人として働いていていいのか」