今や夫婦共働きは珍しくなくなった。「一家の大黒柱」が死語になる日も近いだろう。どんな雇用形態であれ、働く妻は増えている。そこで大きな問題になりつつあるのが、家事・育児問題だ。折り合いがつかなかったり、妻が不満を溜め込んだりすると、“夫婦間戦争”が勃発する。男性読者の中にも、今まさに「家事・育児問題」に悩んでいる人は少なくなかろう。共働き家庭の宿命とも言えるこの争い、どうすれば解決できるのだろうか。(取材・文/池田園子、編集協力/プレスラボ)
ある日突然、妻が大爆発!
共働き夫婦の深刻な家事・育児問題
夫婦の共働きがスタンダードになりつつある昨今。内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書」によると、昭和55年以降共働き世帯は年々増加し、平成9年以降は共働き世帯数が、専業主婦世帯(夫のみが働き妻が専業主婦をしている世帯)の数を常に上回っている状態だ。平成26年度は前者が1077万世帯、後者が720万世帯と大きく差が開いており、年々専業主婦世帯数は減少の一途を辿っている。
長らく生活苦が続いた影響で、一部の女性が望む「結婚後は専業主婦」モデルは徐々に崩れてきている。一方男性についても、以前は「結婚したら妻には家庭に入ってほしい」と思う人が多かったが、最近ではそうもいかなくなったようだ。
平成27年6月に日本生命保険が行った「結婚」に関する意識調査 (調査対象は2万0438人)によると、「結婚したら夫婦の就業状況はどうしたいですか?」との問いに対し、独身者の82.0%が「共働き」を希望していることがわかった。特に年齢が若いほど、共働きを希望する傾向が明らかになっている。
望むと望まざるとにかかわらず、夫婦が2人とも働かないと家計が苦しくなる時代。正社員だけではなく、派遣社員やパートとして働く妻も少なくない。そんな日本の家庭で浮上するのが「家事・育児問題」だ。
外で働く妻は夫と同じく、1日の終わりに仕事でくたびれ切っている。しかし、「家事・育児は女性がやるもの」といった昭和時代的な古い価値観を持つ夫はまだ多いのが実情だ。夫ばかりでなく、夫の両親がそうした価値観に縛られているケースも少なくない。
2014年3月に経済協力開発機構(OECD)が「Balancing paid work, unpaid work and leisure 」内で公表した調査によると、日本では女性が1日299分無償労働をするのに対し、男性は1日62分で、OECD加盟国中最低レベルであることが明らかになっている。性別によるこの差は、OECD26ヵ国平均の134分と比べても大きい。