部下といい関係性を作る「伝え方」

【Case4】一緒に飲みに行ってほしい

「上司に飲みに誘われるのがイヤ」という20代の若手が増えています。仕事とプライベートはしっかり切り分けたいというのが理由のようですが、「飲みニケーション」で仕事でのコミュニケーションが取りやすくなることも、実際にはあります。そこで、お酒を酌み交わしながら関係性を深めたい…と思った上司が、部下に

×「中川君、飲みに行こうよ」

とド直球で伝えたら、「何でですか?」と返されてしまった…という、笑うに笑えない実話を聞いたことがあります。
そんなときは、このように伝えてみてはいかがでしょうか。

〇「焼き鳥がすごくうまい店があるから、一緒に行かない?」

これは伝え方の技術「相手の好きなこと」を使った伝え方です。事前に相手が好きな食べ物をリサーチして、それをもとに伝えるのがコツ。焼き鳥好きな部下であれば「すごくうまいならば、行ってみたいな」と前向きに検討してくれるでしょう。

なお、伝え方の技術「あなた限定」を使って、「中川君が来ないと盛り上がらないから、飲み会に来ないか?」と伝えるのもお勧めです。「君が来ないと…」と特別扱いされると、人はその誘いに乗りたくなるものなのです。

【Case5】面倒な仕事を任せたい

この少し面倒くさい仕事、誰に任せよう?新しく来た彼ならば、いい学びと経験になるのではないか?…こんなケース、ありますよね。でも、

×「この仕事、やっておいて」

と伝えるだけでは、「面倒くさいことを押し付けられた」という印象を与えてしまう恐れがあります。仕事へのモチベーションも下がってしまうかもしれません。
そんなときは、次のような伝え方が効果的です。

〇「吉田君には、他のみんなよりも早く経験を積んで成長してほしいから、この仕事に挑戦してみてほしいんだ」

これは「あなた限定」という技術を使った伝え方です。「他のみんなよりも…」と特別扱いされると、人はその話に乗りたくなるもの。「自分に特別期待してくれているから、この仕事をくれたんだ。頑張ろう!」と前向きに捉えてもらいやすくなります。

●今すぐ使える「伝え方」ポイント
「あなた限定」…あなただけ特別、と言われると、人はつい動いてしまうもの。じぶんだけ選ばれたという優越感から、話に乗りたくなるのです。

まとめ

さまざまなシーンでの「伝え方」を解説しましたが、関係性の浅い相手に対して有効なのは、「相手の好きなこと」という技術。相手にいい印象を与えられるうえに、イエスをもらいやすいので、まずは「相手の好きなこと」で考えてみるのがお勧めです。
さらに「認められたい欲」の技術を使いこなせれば、すぐに新しい環境に馴染め、上司や部下ともいい関係性を築けるようになりますよ。

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佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードでゴールド賞他計6つ獲得、など国内外55のアワードを入賞受賞。福岡県クリエイティブディレクター、シェラトンJAPANクリエイティブディレクター、などブランディング、広告CM制作多数twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp