春は出会いの季節。新しい職場に異動した、新しい会社に中途入社したという方もきっと多いことでしょう。シリーズ累計127万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんが、新しい職場にすんなり溶け込み、活躍していくための「伝え方」を教えてくれました。(構成・伊藤理子)
最初の印象は、伝え方で決まる
異動や転勤、転職などで、新しい職場でスタートを切ったという方も多いでしょう。働く環境が変われば、業務も生活スタイルも、すべてが大きく変わるものです。その際、特に重要なのは、新しい人間関係をいかにスムーズに構築するか、です。
こんな話があります。
この春、新しい会社に中途入社した佐藤くん。配属されたチームに貢献するべく、さっそく「入社したばかりの自分にもできること」を探しました。目についたのは、Excelを使えば5分で終わる作業を、みんなが手作業で、1時間以上かけてやっているという現状。そこで、よかれと思って
「その作業は、前の会社ではExcelを使っていたので、そうしませんか?」
と伝えました。すると…なぜかチームメンバーは皆、苦い顔。どうやら、「前の会社のやり方はすばらしかったのに、この会社のやり方は古い」という批判に聞こえてしまったようなのです。
では、どう伝えればよかったのでしょうか?
◯「Excelを使えば、皆さんの作業がずっとラクになるので、使ってみませんか?」
こう言えば、気持ちよく提案が受け入れてもらえたでしょう。
この伝え方は、伝え方の技術「相手の好きなこと」を利用しています。
話の内容は同じでも、自分の意見を押し付けるのではなく、相手のメリットをもとに伝えることで、気持ちよく聞き入れたくなるのです。この伝え方ならば、みんなの業務が効率化されるだけでなく、「新入りの佐藤くんは、チームのことを思いやってくれる人」というポジティブな印象を与えることができます。たとえ伝えたいことは同じであっても、伝え方の技術ひとつで新しい職場で煙たがられるか、歓迎されるかが決まるのです。