――筆者のジョン・グリーンウッド氏はロンドンにある資産運用会社インベスコのチーフ・エコノミスト、スティーブ・ハンケ氏は米ジョンズ・ホプキンス大学の応用経済学教授。 ***  「現代貨幣理論(Modern Monetary Theory 、以下MMT)」は、チャタリングクラス(おしゃべり階級)の間で最近もてはやされている言葉だ。これは、曖昧な形のポスト・ケインズ派経済理論であり、緊縮財政に反対する人々に歓迎されている。MMTの基本的考え方は、ある国の借り入れが自国通貨で行われ、その国のインフレ率が抑制されていれば、財政赤字は何の問題にならないというものだ。