実は1年間で是正勧告4件、指導1件

グローバルHR日本人事室名で最近の労基署による指摘事例を挙げ、社員にコンプライアンス遵守を求めている内部資料写真(3):本編集部が入手した武田薬品の内部資料。グローバルHR日本人事室名で最近の労基署による指摘事例を挙げ、社員にコンプライアンス遵守を求めている 拡大画像表示

 一方、本編集部は武田薬品グローバルHR日本人事室名の内部文書(写真(3)、5月24日付)を入手した。そこには18年9月~19年5月にグローバル本社(東京)、大阪工場、光工場(山口)であった労基署による是正勧告4件、指導1件が記されていた。

 36(サブロク)協定の時間外労働限度時間を超えて労働させたケースや、賃金不払いのケースなど。4月の是正勧告(36協定違反)も記載されていたが、加えて5月にも光工場で是正勧告(賃金不払い)があった。つまり“ホワイト企業”認定中も、残念ながら“ブラック企業”な指摘が2回もあったことになる。

 武田薬品は近年、激動期にある。子会社や資産の売却、旧湘南研究所(現湘南ヘルスイノベーションパーク)の研究員リストラ、アイルランド製薬大手シャイアー買収など、社員の運命を左右する大イベントが立て続けに発生。一方で経営中枢は元メガファーマの外国人が大半を占めるようになり、年12億円もの報酬を得るクリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)を筆頭に社員との給与格差も大きくなった。

 一部社員の間に経営陣への不満がマグマのように沸々と湧いているのは確か。その結果、前出の社員による本編集部への情報提供のような具体的な動きにつながっているのかもしれない。

 6月27日にはシャイアー買収完了後初めての定時株主総会がある。財務体質悪化などを理由にシャイアー買収に反対していた一部創業家筋やOBから「クローバック条項」(*将来シャイアー買収による減損などがあった場合、過去に遡って取締役の責任を追及できる条項)の株主提案があり、会社側と提案者の攻防に注目が集まっている。

 自業自得とはいえ、その本番を前に会社側に一つミソがついた。

(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)